研磨した御刀の紹介を致します。研磨作品画像集です。

 

 

  研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。

 武蔵大掾忠広の短刀です。

 来を写したものですが身幅広めで重ね厚い所に新刀の特色が有ります。

 令和4年の現代刀職展に出品差せて頂き努力賞を受賞致しました。

 

 地鉄は良く詰み地沸厚く付き沸映り立ち、刃文は沸出来の直刃でほつれた部分が有ります。

 

 研磨は沸映りが見える様に留意して作業をしました。

 

  研磨を差せて頂いた御刀の紹介を致します。

 石堂運寿是一の太刀で嘉永六年の年紀が有ります。

 珍し太刀で雉腿茎に成っています。

 令和四年の現代刀職展に出品差せて頂き優秀賞を受賞致しました。

 

 地鉄は肌目良く練れて地景入り地沸付き沸出来の華やかな丁子刃文です。

 

 研磨作業は地鉄が良いのでそれが出る様に華やかな刃文の特徴が出る様に刃取りしました。

 

 

 

 

 

 太刀 正吉 令和三年如月

 

 宮下正吉刀匠の令和三年の作で現代刀職展作刀の部に出品され努力賞一席を受賞されました。
 宮下刀匠は宮入法廣師の一門で茨木県で作刀されている若手刀匠です。
 研磨作業を差せて頂いた私に取っても受賞はとても嬉しい事です。

 一文字を狙った太刀で丁子が華やかに乱れています。
 現代刀で備前伝を狙う場合地鉄は均一で無地風に成り勝ちですが、この御刀は肌目が綺麗に出て地沸付き地鉄の良さが有ります。

 新作刀の研磨は、刃を付ける、形を整えると言う部分の荒砥ぎから行うので古い刀とは、また違う大変さと根気、体力が必要です。

 

 

 

 

 刀 無銘 綾小路定利

 

 令和三年度現代刀職展研磨鎬造りの部に於いて優秀賞を受賞致しました。

 

 綾小路定利は京綾小路に住した刀工で昔は鎌倉中期ぐらいの刀匠と言われて居ましたが現在は鎌倉初期、三条派や五条派に続く刀匠と見られており反り高く切先が小さく成る点、地鉄等古風が有ります。

 

 この御刀は重要刀剣で綾小路定利に極めれて折り本阿弥琳雅の鞘書きも綾小路定利に成って折り典型的な作風を現しています。

 大擦り上げ無銘ですが反り高く切先やや小さく、元に腰樋と素剣の彫が有りますが彫は後彫の可能性が有ります。

 地鉄は板目肌やや流れ杢目交り地景入り地沸良く付き、綾小路定利の特徴で有るネットリとした肌に成り淡く映りが出ています。

 刃文は直刃調の小乱れで小沸付き金筋入り働きが大変豊富で刃縁が明るく冴え、一部打ちのけ掛かります。

 

 研磨は地刃、柔らかく砥石も良く効き研ぎやすい御刀でした。

 

 

 

 

 

 

 脇差 無銘 平戸左盛広

 

 この御刀は令和三年度、現代刀職展研磨平造りの部に於いて努力賞を受賞致しました。

 

 平戸左は左文字の弟子の盛広が平戸に移住して起こした一派です。

 繁栄した一派と思われますが九州は戦乱の多かった場所からか残っている物は少ない様です。

 帽子の焼が鋭く尖り長く変える部分など左文字と共通した作風が現れています。

 

 この御刀は無銘で平戸左盛広に極められており、地鉄は地景入り地沸良く付き刃文沸出来で匂い口深く金筋入り相州伝の作風を強く現しています。

 帽子は乱れ込み先尖り長く返ります。

 

 研磨作業は地鉄のこなし方が難しく中々難儀致しましたが御刀の特徴を引き出せたかと思います。

 太刀 福岡一文字

 

 太刀表に楷書に一の銘が有ります。
 一文字派は備前国に鎌倉中期ぐらいに起こった流派で福岡一文字、岩戸一文字、吉岡一文字等の派が有ります。
 
 令和二年度の現代刀職展に於いて協会会長賞を受賞致しました。
 
  茎在銘で茎先を少し摘み、反りが高い太刀で、地鉄は総じて詰んで所々大肌交り地沸付き元に丁子映り中程からは乱れ映りが現れています。
 刃文は元の方は焼やや低く始まり蛙子丁子等交えて中程から焼高く重花丁子に成り物打ち辺から焼が低く成り切先に乱れ込みます。

 この太刀は研磨前は古研ぎで保存刀剣等の指定も受けていない状態でした。
 研磨は古く映りは見えましたが、地鉄は小肌がふさり大肌だけが目立ちました。
 研磨作業はハバキ元や物打ち刃先他所々錆が有りましたので、錆は備水砥で除去しました。
 物打ち辺は研磨し難い場所で錆が意外に深く取り去るのに難儀しました。
 下地研ぎを進めて、仕上げ研ぎでは小肌を綺麗に出して大肌が成るべく目立たない様に心掛けました。ただ、あまり肌を起こすと映りが見え難く成るのでその辺りの兼ね合いには気を使いました。
 刃取りは出入りの大きいので必然的に時間が掛かります。品良く丁子の雰囲気が出る様に刃取りしました。
 研磨は気を使い時間も掛かりますが締め切り厳守で中々大変でしたが、良い結果も頂く事が出来て良かったです。

 

 その後の審査で福岡一文字の極めの重要刀剣に成りました。

 短刀 兼定(之定)

 

 この短刀は本年の現代刀職展、研磨平造り部に於いて優秀賞一席を受賞致しました。

 之定は二代兼定で定のウ冠の下が之と銘を切っていますので通称之定と言います。
 兼元と並ぶ関伝の代表的刀工です。
 之定の銘は一種独特の書体ですがこの短刀は比較的整った書体の二字銘が有ります。器用な刀工で作風は相伝風や丁子刃の物等色々ですが、短刀には直刃の京物を写した物が多く之定の来写しと呼ばれています。

 この御刀も来写しの一振りで出来の優れた作ですが来物より鉄が強い感じがします。地鉄は地景入り地沸付き強い鍛えに成り、そこに乱れ映りが鮮やかに立っています。刃文は匂出来の直刃で上方がややノタレて刃縁が良く冴えています。

 研磨作業は地鉄の働きが多いので、それを十分に引き出したいのですがあまり出し過ぎると映りの方が見え難く成っていまいますので、その点を折衷すべく工夫して研磨しました。
 御刀の特徴は良く引き出せたのではと感じています。

 

 

 

太刀 無銘 古備前行秀

 

古備前は最初に備前に現れた刀工の集団で、友成、正恒など沢山の名工が居ます。

行秀は在銘が数振り存在しており刃文がやや逆掛かり二重刃に成るのを特徴としています。

 

この御刀は無銘ですが生茎で、元と先幅があまり変わら無い豪壮な姿で反り高く鎬が高く平肉が付き、地鉄は細かく詰み精美で地景細かく入り地沸厚く付き映りが立ち、刃文は小沸出来で大変明るく冴え小互の目逆足が入り、刀身中程から断続的に二重刃に成り切先まで続き裏の切先は三重刃に成り古備前行秀の特徴が良く現れています。

 

研磨作業は古研ぎで地鉄がふさっていましたので細かい肌や働きが出る様に心掛けて、尚且つ映りも極力見える様に作業しました。

 

令和元年の現代刀職展(研磨、鎬造りの部)に於いて特賞竹屋賞を受賞致しました。

 

 研磨後の審査で特別重要刀剣に指定されました。

短刀 義助

 

義助は駿州島田派の代表的な刀工です。

 

この御刀は相州伝を強く現して、地鉄は地景入り地沸厚く付き、刃文は沸出来の皆焼に成り刃が良く冴えています。

 

元の研ぎは差し込み研ぎでしたが、やや錆が出て古研ぎに成っていましたので刃取り研磨での研ぎ直し依頼で作業を致しました。

皆焼は刃文通りには刃取り出来ないので、取り切れ無い部分は刃取りせず、また飛び焼で纏めれる部分は刃取りをしたりの工夫が必要で研師のセンスが必要な作業に成ります。

 

令和元年、現代刀職展(研磨 平造りの部)に於いて優秀賞を受賞致しました。

 

短刀 銘則重

 

則重は正宗の十哲として有名な刀工ですが、実際は新藤五国光の合弟子、若しくは兄弟子と言われており後に越中に移住した刀工です。

相州伝をより激しく表した作風で、この作品も地鉄やや肌立ち地景太く入る松皮肌に成り荒目の地沸激しく付き、刃は沸出来で刃中金筋、二重刃掛かり複雑な働きが有り刃縁良く冴えます。

 

研磨作業は地刃柔らい割に粘りが有り、地鉄の働きを出すのも簡単では有りませんので中々大変でした。

 

平成30年、現代刀職展(研磨外装技術発表会)平造りの部に於いて優秀賞一席を受賞致しました。

折り返し銘 来国光

 

来国光は来国俊の子で南北朝期に活躍した刀工です。

時代を反映して来国俊より身幅が広く寸が長く成り、地刃に相州伝の色合いが強く成ります。

 

この御刀は、表に素剣、梵字、裏に樋の彫が有ります。

板目肌に地景入り、地沸良く付き、刃文は細直刃、湾れで沸が強く良く冴え金筋等の豊富に働きます。

 

平成29年度研磨外装技術発表会、平造りの部に於いて努力賞を受賞致しました。

無銘 基光

 

基光は長船兼光の弟子で南北朝期に活躍した刀工です。

姿、地刃に南北朝期の特徴が良く現れます。

 

地鉄は地景入り地沸厚く付き、映りが立ちます。

刃文は、互の目、丁子に飛び焼入り小沸出来に成ります。

 

平成29年度研磨外装技術発表会、鎬造りの部に於いて努力賞受賞致しました。

大和志津 

 

大和志津は美濃伝の祖、兼氏が美濃移住の前大和国に住していた時に造った作を呼んでいますが在銘確実な物は有りません。

 

この作は樋の幅(鎬幅)が広く大和伝の特徴が有ります。

刃中長く金筋入り地鉄地景地沸強く相州伝が強く現れます。

 

平成28年度研磨外装技術発表会に於いて特賞(鎬造りの部)協会会長賞を受賞致しました。

喜翁藤直胤 嘉永七年二月(大慶直胤)

 

大慶直胤の平造り脇差です。70歳を過ぎてからの作ですが相州伝の覇気満々の出来口です。

表は草の倶利伽羅、裏は護摩箸に梵字の彫が有ります。

地刃働き多く、地鉄には太い地景入り地沸良く付きます。

 

平成28年度研磨外装技術発表会に於いて努力賞(平造りの部)を受賞致しました。

                                 

青江 研磨外装技術発表優秀賞受賞作

 

青江派は備中国の刀工の一派で平安後期から南北朝期まで長く栄え、平安から鎌倉初期を古青江、それ以降を青江と呼んでいます。

 

この御刀は無銘ですが、地鉄良く詰み細かい働き多く映りが立ち刃文は直刃調に逆向きの足が入り青江の特徴が良く表れている優作で重要刀剣に指定されています。

 

平成24年度の研磨外装技術発表に出品して優秀賞を受賞致しました。

志津(兼氏)研磨外装技術発表優秀賞受賞作

 

兼氏は大和手掻派の刀匠で初銘包氏と言い後に美濃国志津に移住して兼氏と名前を改め美濃伝の祖に成りました。

また、相州正宗の十哲の一人にも数えられています。

 

在銘品は少なく、包氏銘の物は無く兼氏銘も多くは刷り上げ無銘に成り、無銘極めで地名を取り通称「志津」と呼ばれています。

この御刀も大擦り上げ無銘ですが、地鉄に相州伝に大和伝を交えて地景地沸等の働きが多く、刃文は互の目連ねた沸出来で、地刃に沸の煌めきが美しい御刀です。江戸期は島津家に伝来して金具に家紋を彫った豪華な拵えが付属しています。現在は重要刀剣に指定されています。

 

研磨差せて頂き、平成22年度日本美術刀剣保存協会主催研磨外装技術発表に出品差せて頂き優秀賞を受賞致しました。

上の御刀の切っ先部分です。

 

 

 

 

備州中路住盛次作 研磨外装技術発表努力賞受賞作品。

 

この刀工は青江派と思われますが、他に同銘作品が無く唯一の在銘品で系統はハッキリとは分からず中路の地名も備州のどこに当たるか分からない様です。

銘鑑では南北朝期と成っていますが、反り高く切っ先小さくもう少し時代が古い様にも感じます。

何れにしましても生茎在銘は大変貴重な御刀です。

 

作風は地鉄細かく詰んで地景入り地沸細かく前面に映りが現れます。

刃文は小沸出来で下半は刃縁潤み心で刃中働き多く、上半は焼刃締まり心で二重刃に成る部分が有ります。

 

この御刀の特徴は地鉄全面刃縁よりまで現れる見事な映りですので研磨する際、映りが良く見える様に留意して研磨作業を致しました。

 

平成27年度研磨外装技術発表で努力賞を頂きました。

 

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